将棋の戦法は大きく居飛車と振り飛車の2つにわけられます。
飛車を盤面の右側において戦うのが居飛車、中央や左側において戦うのが振り飛車です。
飛車はもとの位置が右側(2筋、8筋)にあるので居飛車というわけです。
棋士も得意戦型により居飛車党と振り飛車党にわかれます。
これれが野球の投手でいうと速球派と技巧派のように思えるんですよね。
居飛車党は速球派
居飛車といっても戦法はひとつではありません。
「矢倉は将棋の純文学」と言われたこともあったように、居飛車の中でも王道中の王道は矢倉。将棋の基本として最初に覚える戦型でもあります。
球種で言えばストレート。
ただし、最近は矢倉が廃れてきているんですよね。
これがキレイなストレート(フォーシーム)が減っているのと重なって思えます。
フォーシームの代わりに投げられるようになったのがツーシーム。
将棋で言えばツーシームは「雁木」。矢倉よりもこちらのほうが多くなっていますし、雁木使い(ツーシーム使い)の棋士も出てきています。
居飛車系でほかに多いのは角換わりと横歩取り。
角換わりはカットボール、横歩取りはチェンジアップのイメージですね。
横歩取りのひとつ間違えば「もっていかれる」感じがチェンジアップを思わせます。
振り飛車党は技巧派
反対に振り飛車党は変化球中心の技巧派のイメージ。
昔は振り飛車と言えば角道を止めた四間飛車や三間飛車が主流でしたが、これが今では少数派。変化球で言えばカーブ。
少なくなりましたよねカーブを投げるピッチャーが。
角道を止めて振り飛車にしている棋士を見るとカーブピッチャーを思い出してしまいます。
変化球の中で多いのはスライダーでしょうか。
将棋の戦型で言えば中飛車(特にゴキゲン中飛車)。
キレのあるボールで三振を取るスライダーとキレのある攻めのゴキゲン中飛車のイメージがマッチします。
向かい飛車はシュート。
相手の飛車に飛車をぶつけるのが向かい飛車です。
胸元をえぐるシュートのイメージですよね。
石田流はシンカー。
理想の駒組みとも言われる石田流ですが、その戦型に組み上げるのが大変。
いい変化球なんだけど、投げるのが難しいシンカーのようですね。
穴熊はフォーク。
穴熊は囲いの名称で他の戦法とは違いますが、手も足も出ないという意味では切れ味鋭いフォークのよう。
居飛車穴熊という居飛車でも穴熊に囲う戦法があるのですが、これは速球とフォークだけで三振の山を築いている抑え投手のようなイメージです。
最後に将棋には力戦形と呼ばれるものがあります。
定跡、形にとらわれずに、序盤から未知の局面へと誘導する戦い方です。
球種に例えるならナックル。
どう変化するかわからないのが魅力ですよね。
将棋界でのナックルボーラ―は佐藤康光九段。
魅力的な差し回しで熱狂的なファンが多いのも野球のナックルボーラ―に似ています。