掛布が若トラと呼ばれていた頃の話です。
私(偏屈オヤジ)がまだ幼稚園生だったとき初めて父にプロ野球観戦に連れてってもらいました。場所は神宮球場、カードはヤクルトvs阪神戦。試合開始時間のだいぶ前についてしまいました。
当時は球場の周りをユニフォーム姿の選手が歩いてました。
今ならファンに囲まれちゃいそうですが、昔はそうでもなかったんですね。
で、早く着いたので球場の周りをウロウロしてると「カケフせんしゅ」を見つけました!
隣りにいた父の手を振りほどき、走り出しちゃいましたね。
「カケフせんしゅ」に近づき、勇気を出して「カケフせんしゅ、あくしゅしてください」といったところ、「はいはい、カケフだよ~」と言って、やさしく握手してもらいました。
すごくうれしかったことを覚えています。
が、父の様子が変なんですよね。お父さんも掛布選手のファンなんだから握手してもらえばいいのに、遠くのほうで見てるだけ。
仕方ないので、カケフ選手にはサヨナラして父のもとに戻りました。
「いま、カケフせんしゅにあくしゅしてもらったよ!」という私に、
「バカ、あれはカワトウっていう選手なんだよ」と父。
「えっ?でも、カケフだっていってたよ」と私、
「それは、おまえが子どもだから、そういってくれたんだよ」。
父の言った意味が幼稚園生の私にはわかりませんでした。
”カワトウってせんしゅは、ぼくが子どもだからだまそうとしたんだな。ほんとはカケフじゃないのに、カケフだっていって。わるいせんしゅだなカワトウって!”
そんなふうに考えちゃいました。
当時、私が知っていた選手は掛布と小林だけ。
バッターは掛布、ピッチャーは小林と覚えてました。
なので、阪神のユニフォームを着てバットを持っている選手を見て「カケフ」だと思っちゃったんですね。ホントは「川藤」なのに。
大人になって冷静に考えれば、本人が「はいはい、カケフだよ~」なんて言わないですよね。ただ、当時の私はそんなことはわからず、「カワトウは僕をだまそうとした悪い選手」と覚えちゃいました。
川藤さん、すみません。