羽生竜王と藤井五段の公式戦初対局は今週の土曜日。
いよいよですね。
個人的に注目しているポイントは羽生竜王の銀使いと藤井五段の桂使い。
羽生竜王は、すべての駒の使い方が上手いのは言うまでもありませんが、何か一つ注目の駒を上げるとすれば「銀」。
NHK杯で加藤一二三九段相手に指した「伝説の5二銀」は有名ですよね。
ちょっと振り返ってみます。
ただ捨ての「▲5二銀打」
「伝説の5二銀」が飛び出したのは1998年度のNHK杯戦準々決勝。
羽生竜王が五段だったときに加藤一二三九段(ひふみん)相手に指したものです。
直前に「▲3二と」と後手の金を取って王手した手に対し、△3二同玉とした局面で、持ち駒の銀を▲5二銀打(61手目)としました。飛車でも金でも取られてしまう位置に打った銀ですが、これが取れないんですね。
取ってしまうと、▲1四角から後手玉は詰んでしまうのです。すでに羽生五段が有利な局面だったのですが、こうした派手な手を指せるのが非凡なところ。
この手に対し、加藤九段は△4二玉と粘ったものの▲6一銀不成△2九歩成▲2八歩△3九と▲3二金(67手目)で投了となりました。加藤九段に勝利した羽生五段はこのままNHK杯戦で優勝しています。
ちなみに、加藤九段はこの手よりも▲4八玉(43手目)を評価しています。
攻められている側に玉を上がったことに才能を感じたとのこと。
藤井五段の4五桂(6五桂)ポン
一方の藤井聡太五段は桂馬を使った攻めが特徴的。非公式戦ながら羽生三冠との初対局でも4五桂ポンと呼ばれる指し方で先攻しています。
また、後手番でも6五桂と序盤早々に跳ねていく手を何局か指しています。
ただ、いずれも「伝説の▲5二銀」と呼ばれるほどではないですよね。それだけに、今度の羽生竜王との対局で、のちに「伝説の」と呼ばれる桂打ちを見てみたい。
伝説の▲5二銀がでたのは羽生竜王が五段のときです。
藤井四段から五段になって迎える羽生竜王戦。
なにか飛び出しそうな予感がします。